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無痛分娩
日本では安全な無痛分娩の提供のため、2018年3月29日に「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」が発表されました。これに基づき、日本産科婦人科学会や日本産科麻酔科学会などが参加して2018年7月6日にJALA(無痛分娩関係学会・団体連絡協議会:The Japanese Association for Labor Analgesia)が発足し、体制の整備および情報提供をしています。
当院では1979年開業と同時に無痛分娩を開始し、「日本産科麻酔科学会」の前身となる「分娩と麻酔研究会」から医師が参加し安全な無痛分娩提供のための研鑽を続けています。 当院もこの提言に賛同し、JALAに登録し、無痛分娩に関する情報を公開しております。
事前入院や計画出産をしなくても無痛分娩で出産していただけます。お産の途中でも無痛分娩に切り替えることができます。
お産の経過を熟知しているベテランの産婦人科医が行います。
1979年岡山県で最初に始めました。 40年間にのべ2万人の産婦さんにご利用いただきました。 経腟分娩の方の80%にご利用いただいています。 (2023 年現在)
無痛分娩は麻酔を用いることで痛みを少なくした分娩です。背中の神経をブロックして痛みを軽くすることが一般的です。当院では「硬膜外麻酔」という方法を用いています。硬膜外麻酔は「硬膜外腔」という場所に麻酔薬を投与する方法です。
背中から細くて柔らかいチューブ(直径1mmぐらい)を入れ、そこからお産が終わるまで痛み止めの薬剤を注入します。そうすると、お腹から足、おしりにかけての感覚が鈍くなり、お産の痛みが和らぎます。この麻酔の方法は、赤ちゃんへの影響がとても少ないことも知られています。細いチューブは腰骨の高さぐらいの背骨のところに入れます。皮膚に局所麻酔をしてから行うので、強い痛みがあることは多くありません。10分ぐらいの処置です。
無痛分娩を始めたあとは、ベッド上で過ごすことが一般的です。お産が終わったら、チューブからの薬剤注入を止めます。そうすると徐々に麻酔の効果が切れてきて、数時間後にはもとの状態になることが普通です。無痛分娩が終わったあとの過ごし方は、無痛分娩をしていないときと同じです。
1979年、当院の前身となる田淵産婦人科医院を開設した時、当時の院長(田淵和久)は考えました。「医療技術が飛躍的に発展し、他の多くの患者様が痛みや苦痛から解放されているのに、産婦さんだけがなぜ痛いまま放置されているのだろう。産婦さんも望むなら、他の多くの方と同様に苦痛から解放されてよいはずだ。」
その思いから、1979年岡山県で初めて持続硬膜外麻酔による無痛分娩を始めました。以来、いつでも無痛分娩が提供できるように、医療の水準を維持、管理しております。
当院での無痛分娩のコンセプトは「痛くない自然な分娩」です。硬膜外麻酔は自然分娩という概念に対立するものではなく、苦痛を減らし自然な分娩の流れを手助けするものと位置付けています。
お産はよく登山に例えられます。産婦さんはそれぞれ自分のルートで、元気に赤ちゃんを産むという一つの頂を目指します。エベレスト登山で酸素ボンベを使うのは普通です。酸素ボンベを使ってもエベレスト登頂の偉大さは少しも損なわれません。無痛分娩を選んでも、次の世代を産み育てる女性の、崇高さに何の変りもないと信じています。