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更年期障害
女性の平均寿命が 90 歳に近づきつつあるわが国において、更年期は人生の折り返し地点です。この時期に起きる様々な症状や問題をご相談ください。
産婦人科医と二人三脚で上手に乗り越えて、第2の人生を明るく幸せに過ごしましょう!
「閉経」とは、卵巣の活動性が永久に停止した状態をいいます。平均的に45歳から55歳までの間に閉経を迎えます。閉経前の 5 年間と閉経後の 5 年間とを併せた 10 年間を「更年期」といいます。更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います。更年期障害の主な原因は女性ホルモン(エストロゲン)の低下や分泌停止により、身体が対応できない状態ですが、その上に、身体的因子(加齢など)、心理的因子(成育歴や性格など)、社会的因子(職場や家庭におけるストレスなど)が複合的に関与することで発症すると考えられています。
更年期障害の症状は大きく 3 種類に分けられます。
更年期障害の特徴の一つは症状が多彩なことですが、これらが他の病気による症状ではないことを確認する必要があります。
更年期障害の薬物療法は大きく 3 つに分けられます。
更年期障害の主な原因がエストロゲンのゆらぎと減少にあるため、少量のエストロゲンを補う治療法(ホルモン補充療法:HRT)が行われます。HRT に用いるホルモン剤には飲み薬、貼り薬、塗り薬などいくつかのタイプがあり、またその投与法もさまざまです。よく話し合いながら、その人に合った最適な治療法を選択していきます。HRT に関しては、一時乳がんなどのまれな副作用が強調される傾向にありました。しかし最近になって、更年期に HRT を開始した人では心臓・血管の病気や骨粗鬆症など老年期に起こる疾患が予防できるという利点が、再び見直され始めています。
漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせで作られており、全体的な心と体のバランスの乱れを回復させる働きを持ちます。多彩な症状を訴える更年期女性に対しては、「婦人科三大処方」とも呼ばれる当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸を中心に、さまざまな処方が用いられます。
気分の落ち込み・意欲の低下・イライラ・情緒不安定・不眠などの精神症状が最もつらい症状である場合には、抗うつ薬・抗不安薬・催眠鎮静薬などの向精神薬も用いられます。