第5章 お産の周辺
3.LDR
L(labor陣痛)、D(delivery分娩)とR(recovery回復)を一室で行うのをLDRシステムによる分娩と言います。
長い妊娠期間を終了し分娩が開始した時、どの産婦さんの赤ちゃんも健康であることが一番望まれますが、実際はそのようなわけには行かないことがあります。
もともと、お腹の中の胎児は低酸素環境で生育をしています。
子宮がくり返し収縮する陣痛の間、赤ちゃんはもっと低酸素状態で過ごさなければなりません。
健康な赤ちゃんは主として、肝臓にエネルギーを蓄えていますので、長い分娩期間、分娩後の飢餓期間でも、無事に過ごすことが出来るようになっています。
しかし、分娩開始までに余力を使い果たした赤ちゃんの場合は、こうした分娩のストレスに耐えられなくなって胎児仮死に陥っていくのです。
胎児仮死と診断された場合は、速やかに赤ちゃんを母体から外に出す必要があります。(急速逐娩)その場合陣痛室では、これらの胎児の監視が一般には充分には行えません。
その反対に、手術して次いで設備の整ったのは分娩室だと考えられます。私は、昭和54年開業以来、陣痛室を持たずに全てのお産の経過を分娩室で見ています。
スペースメールがアメリカで特許を得たとき、招かれたミューヨーク市にあるコロンビア大学の分娩室で開いた説明も同じでした。
ですから、LDRは整った環境で分娩を行うと言う意味であって、家庭的雰囲気で、医療器機をなるべく隠してしまうということとは直接の関係はないと私は考えています。私どものスペースメールLDRは、このLDRシステムに適した画期的な分娩台になりました。