1-4.ヒトだけが2本足で立って歩く

第1章 ヒトのお産:4.ヒトだけが2本足で立って歩く

 サルとヒトのお産を比べる前に、ヒトの動物学的な特徴をますお話ししましょう。

 脊椎動物門哺乳綱霊長目ヒト科に分類されるヒトは、「下肢で直立歩行し、上肢は手の機能を果たすようになり、地上生活を営み、道具を使用し、さらに大脳の著しい発達によって、言語、思考、理性の能力、また、文化的想像の能力を有するに至ったもの」と辞書にあります。

 すなわち、直立歩行できることがその他の動物との大きな違いなのです。

生まれたばかりで歩けないヒトの赤ちゃんには、土踏まずがありません。ヒトに近いゴリラやサルも2本足で歩くことはできますが、土踏まずはなく、通常は前傾姿勢で四足歩行をしている動物です。

 ヒトの赤ちゃんは、歩行を開始すると土踏まずが形成されてくるのも、ヒトが直立歩行する証拠の一つです。同じ霊長目に属するゴリラとヒトの姿勢を比較してみますと、ヒトは同一鉛直線状に頭蓋、脊柱、下肢が並んでいるのがよくわかります。

 一本の棒の上に、頭が載っているのと同じですから、頭のバランスを保つのに大きな力を必要としません。頭を引き上げ、顔を前方に向かわせるための筋肉が少なくてすみます。

 ヒトは、このようにして脳の重量が次第に増加し、知能を大いに発達させることが出来るようになったのです。一方、頭が脊椎の前方にある他の脊椎動物では、頭を引き上げ、顔を前に向けるためには、強力な筋肉が必要になってきます。しかし、筋肉の増強には限度がありますので、これら四足歩行動物は、頭蓋を大きくすることは出来ませんでした。

 頭蓋が大きくなり脳が発達した恩恵で、人類は幸せになることができたのですが、お産をして、次の世代を育てなければならない女性には、大変苦痛を与える結果となってしましました。

 

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